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zoom RSS 花乙女シリーズ番外編、その2

<<   作成日時 : 2018/07/18 13:36   >>

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【今日の花乙女組】六日目

ヒューイットとイェンファの『意味なんてない』という台詞を使った「甘い場面」を作ってみましょう。
#serif_odai
https://shindanmaker.com/74923

 ヒューイットを後ろから抱え込んでベッドでごろごろしていると、俺の手に自分の手を重ねて、
「ドゥ・ベチュダ・アルト・フォー・マイ」
 そう、小さく囁いた。
「……何の呪文だ?」
「さあ?」
 くすくすと笑いながら、ヒューイットははぐらかす。
「どういう意味?」
「意味なんてないよ」
「本当に?」
 腕の中のヒューイットをベッドに仰向けに押し付けて、顔を覗き込む。楽しそうな表情は、絶対に何か隠してる。
「ヒューイ、おしえろ」
「どうしようかなー」
「こら」
「うわ! ちょっ、くすぐるのはずるいー!」
 何とでも言え。
「おーしーえーろー」
「わかった! わかったから!」
 綺麗なスカイブルーの瞳が、不意に俺を真正面から見つめて、ほんの少しだけ鼓動が早くなる。

「『あなたは私のすべてです』」

「え」
「そういう意味だよ。アストルティアの言葉じゃないけどね」
 わかった? って小首を傾げて微笑まれて、意味が判って、どんなつもりでヒューイットがそう言ったか理解して、顔から火が出そうになった。
「わー、真っ赤!」
「……不意打ちはやめてくれ」
 心臓に悪い。
「意外と照れ屋だよね、イェンファ」
「慣れてないんだ」
 本気の恋なんて、これが初めてだから。
 遊びならいくらでもした。気持ちのこもらない愛の言葉なんて呼吸するように口にした。
 でも、本当に好きで、好きでどうしようもなくて、一瞬だって離れていたくなくて、自分でコントロールできないほど愛してしまったのは、ヒューイットだけだから。
 そして、そんな相手から、愛される喜びを与えられるのも初めてで。
「ヒューイ」
「ん?」
「もう一回おしえてくれ」
「ドゥ・ベチュダ・アルト・フォー・マイ」
「ドゥ・ベチュダ・アルト・フォー・マイ」
 あなたは私のすべて。
「俺もだ、ヒューイ」
 ぎゅ、と抱き締めて気持ちを告げると、ヒューイットは嬉しそうに笑った。
「うん、ありがと」
「だけど」
「だけど?」
「もっと判りやすく言ってくれ……」
「大好き、ばかりじゃつまんないかなーと思って」
「……フツーガイイデス」
「大好きだよ、イェンファ」
「俺も」

 大好きだ。


【Du betyder alt for mig. / ドゥ・ベチュダ・アルト・フォー・マイ / あなたは私のすべてです】
デンマーク語です。



【今日の花乙女組】七日目

「〜♪」
「どうした、ご機嫌だな?」
「えへへ、モンダンローズビジュ、当たったんだー! 新しいドレア考えなきゃ!」
「そうか、欲しかったものが当たって良かったな。おめでとう」
「ありがと、イェンファ」
 ちょっと出掛けてくるねー!
「いってらっしゃい」
 はあ、と溜息ひとつ。
「自分で当てたのか。……どうするかな、これ」
 欲しい欲しいと騒いでいたから、こっそり自分もふくびきして当てたのだが、まさかダブるとは。
「売るか」
「ただいまー!」
「!!?!?!!」
「あれ、それイェンファも当てたの?」
 いきなり戻ってきたヒューイットに、装備品をしっかり見られてしまった。
「ねえ、もらっていい?」
「ヒューイ、自分で当てただろ?」
「そうだけど、それもらっちゃだめ?」
「いや、最初から、おまえにやるつもりだったから」
「ありがと!」
 嬉しそうに笑って、イェンファの手から装備を受け取る。
「ドレアには、こっち使うねー!」
「……いや、どっちでも同じ装備だろ?」
「え、だって、イェンファがわざわざ当ててくれたやつだもん。愛が詰まってるもん。こっち使うよ」
「愛って……」
 ヒューイットの喜ぶ顔が見たかっただけだ。
 愛だと言われれば間違いなくそうだが、ストレートに言われると死ぬほど恥ずかしい。
「……ドレア、出来たら見せてくれ」
「うん、一番最初に見せるね!」
 と嬉しそうに微笑まれて、心臓が跳ね上がる。
(ああ、俺は何回恋に落ちればいいんだろう)
 愛して。
 愛されて。
 誰よりも大切な人の傍に居られて、自分の行いが相手を喜ばせる。
 幸せそうに笑ってくれる。
(それが嬉しい)
 イェンファもまた幸せを噛み締めて、ヒューイットに笑い返した。



【今日の花乙女組】八日目

「ただいまー」
「おかえりなさいませ、ヒューイさま」
 ドアを閉めて鍵を掛けて、ふたりきりの空間をリアルから切り離して1・2・3、くたりとあからさまに気を抜いてヒューイットが甘えてくる。それを抱き止めれば、いつものフレグランスに混ざる、かすかな埃と汗の匂い。
 今日は何処まで冒険してきたのやら。
「疲れたー」
「みたいだな」
「もう寝るー」
「シャワーぐらい浴びろ」
「やだ」
 駄々を捏ねながら、半分くらい寝かかっている。
「こら、寝るな」
「眠いー」
「子供か!」
 ぐだぐだしているヒューイットを肩に担ぎ上げて下へ降りる。
「扱いがぞんざいだー」
 言われるまでもなく、まるで俵か荷物のような扱いだが、今お姫様抱っこなんかしたら間違いなく寝る。絶対寝る。
「脱がせる間だけでいいから起きてろ」
「はぁい」
 1ミリも何もする気がないヒューイットから装備を引き剥がす。なんでこうボタンやらレースやらフリルやら装飾が多いんだ、こいつの服は。
 脱がせて洗って丁寧にケアして温まらせてバスローブを羽織らせてベッドに寝かせる。いつもやっている事ではあるが、なんだろう、無駄に疲れた。ヒューイットは気持ち良さそうに寝息を立てている。
(無防備に寝やがって)
「襲うぞ」
「いいよー」
「!?」
 独り言に返事をされて、びっくりした。
 うっすらと目を開けたヒューイットが、俺を見上げて笑っていた。
「する?」
「しない」
「何で?」
「ヤってる最中に寝るだろ絶対」
 だから、しない。
「いいから寝ろ」
「ふぁい」
「…欠伸しながら返事するなよ」
 ヒューイットの手が伸びて、わしゃわしゃと雑に俺の頭を撫でていく。礼のつもりか。
「おやすみー」
 間延びした挨拶を残して、それはそれは幸せそうに笑んだまま眠りに落ちていく。
(次は絶対寝かせてやらないぞ)
 隙あらばヤリたいし、触れていたいし、いつだって頭から全部丸齧りしたい狼の気持ちだけど、俺を信じて、安心しきって眠るおまえを守りたいのも本当だから。
 襲いかかるのは、また今度。
 今はゆっくりと。

「おやすみ、ヒューイ」



【今日の花乙女組】九日目

 ヒューイットがご機嫌斜めっぽくソファで丸まっていたので、よしよしと頭を撫でてみた。
 ちょっとばつが悪そうに俺を見上げて、すぐに視線をそらし、もっと、と小声で言うので、遠慮なく撫でた。まだ眉間にシワが寄っている。美形が台無しだぞ。
 当り散らすこともない代わりに、あまり愚痴も言わない我が主に笑ってもらうには、少々足りないようだ。
「ヒューイ」
「何?」
「プリン作ってあるけど」
「食べる」
 即答された。甘いもの作戦は成功か。
「支度してくる」
「イチゴ」
「ん、苺でデコレーションな」
(苺好きだもんな)
 内心でこっそりガッツポーズ。苺買っておいた俺エライ。
「イェンファ」
「ん?」
「……ありがと」
「どういたしまして」
 どうしようもない鬱屈を抱えてしまう日もあるだろう。つらく悲しい日もあるだろう。
 だけど、どんな時でも、ここが心安らぐ家であってほしい。
 俺に出来ることならいくらでもするから。
(もし俺が俯いていたら、全力で同じことをしてくれるだろう?)

 だから、甘えてくれたらいい。
 家に居る、ほんの少しの間でも。



【今日の花乙女組】十日目
 皺々になるまで。

「ヒューイ?」
 庭先のトロピカルハンモックで転寝していたヒューイットに声を掛けると、まだ半分眠っているような顔で、ぼんやりと目を開けた。
 俺を見上げて、クスクスと笑い出す。
「……なんだよ」
「ん、いい夢見てたんだ」
「起こさない方がよかったか?」
「ううん」
 ヒューイットは手を伸ばし、俺の手を握った。
「オレはカメラを持って、イェンファはお弁当を詰めたバスケットを持って、手を繋いで散歩に行くんだ」
 その手がね。
「ふたりとも皺々なんだ」
「……なるほど、いい夢だな」
「でしょ」
 年月を重ねた手と手を繋いで、ゆっくりゆっくり世界を歩く。
「ヨボヨボになっても、オレのこと好きでいてくれる?」
「安心しろ、シワシワになっても愛してるから」
「本当に?」
「おまえが歳を取ったら、さぞ綺麗なじいさんになるだろうさ」
「イェンファは、きっとかっこいいおじいちゃんになるね」
「努力しよう」
 握り返した手には、まだ皺ひとつないけれど。
 いつか、夢見た通りに皺々になるまで、長い時間を重ねよう。

 ずっとキミと歩いて行く。


 ヒューイットとイェンファのしょうもないベタベタイチャコラ話、まとめその2。
 十日目まで書いたらまとめます、とTwitter上で言いつつ書かなかったようなので、その後書いたSSでお気に入りの話を入れてまとめました。少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

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