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zoom RSS 花乙女シリーズ番外編、その1

<<   作成日時 : 2018/01/16 13:46   >>

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ヒューイットとイェンファへのお題
【運命的だとは思いませんか/こんなに好きになる筈じゃなかったんだけどな。/「僕を愛してくれるなら」】
https://shindanmaker.com/287899

 イェンファの肩越しに見上げた窓から、明るい光が差し込んでいる。
「……余所見?」
「ん、綺麗に晴れてるなぁって思って」
「出掛けたいのか」
「ううん」
 きっぱりと否定して、ヒューイットはイェンファの背中に腕を回す。触れる体温が心地良い。
「今はこうしてたい」
「今は?」
「うん、今はね」
「このまま閉じ込めておこうか」
「いいよ」
「うそつき」
「嘘じゃないよ。オレを愛してくれるなら」
 縛られても、閉じ込められても構わない。
「ここにいるよ」
「うそつき」
「ホントだってば」
「うそだ」
 いつだって、俺を置いて行くくせに。
「世界の命運を背負っちゃってるからねぇ」
「ほら、うそつきだ」
「そんなこと言うなら、イェンファだって嘘つきだよね?」
 本気で閉じ込めたりしないくせに。
 ふう、とイェンファは小さく溜息を吐き、ヒューイットの銀色の髪に指を差し入れて梳く。
「こんなに好きになる筈じゃなかったんだけどな」
「後悔してるの?」
「まさか」
 きつい印象の目元を和ませて、綺麗に笑う。
「ヒューイに踏まれてよかった」
「いろいろ誤解を招きそうだけど、真実だからしょうがないね」
「運命的だと思わないか」
「踏んだのが?」
「ヒューイが俺を拾ったのが」
「違うよ、運命じゃないよ」
ヒューイットはイェンファの頰を両手で包み込むように引き寄せて、その唇を啄む。
「ヒューイ」
「必然だよ」
 あの日、死にかけていた彼を踏んだのも、この家に連れて帰って来たのも、イェンファと名付けて一緒に暮らすようになったのも、何もかも全部。
「全部、必然なんだから」
 一緒に居てよ。
「ここに居る」
「イェンファ」
「おまえが、俺を要らないと言うまでは、ここに居るから」
 誰よりも傍に置いてくれ。
「大丈夫、そんなこと絶対に言わないよ」
だから、永遠にこのままで。
「……うそつき、って言わないの?」
「信じてるから、裏切らないでくれ」
「うん」
「ヒューイ、愛してる」
「オレも愛してるよ」
だから。
「もう一回、しよ?」
「御希望とあらば何度でも」
 繋いだ手も、混ぜあった髪も、触れた唇も離れるのを惜しむように、ふたつの影はいつまでも重なり合っていた。

「イェンファ、おなかすいた」
「……後でな」
「えええー」



部屋の電気を消そうとした瞬間、急に大切そうにおでこにキスをされ、振り絞る様な声で「ずっと大切にするから」と言われて、思わず涙がこぼれるヒューイットとイェンファ
https://shindanmaker.com/597297

「疲れたー! もう寝る!」
「おやすみ、ヒューイ」
「イェンファも一緒に寝よ?」
「まだやることが」
「明日でいいじゃん、寝よ寝よ!」
 カムカム手招きされて、断りきれずに従う。天使スーツを脱いで、ラフな部屋着に着替え、ベッドに居るヒューイットの隣に潜り込む。
 明かりを消そうとすると、その手を軽く引き止めて身体を起こしたヒューイットが、そっとやわらかくイェンファの額にくちづける。
「ヒュー…イ」
「ずっと大切にするから」
 だから、傍にいてね。
 そんな真剣な声を、振り絞るみたいにして言わないで。
 不意打ちすぎて、視界が歪む。
「イェンファ」
「心臓に悪過ぎるだろ」

 ささやかな悪態でも誤魔化せなかった涙が、ひとつぶ零れ落ちる。
 誰よりも愛されていると知っている。いつだって、そうだと示してくれるから。
 その気持ちに応えたいから。

「俺はここに居る。おまえの傍に」



【ヒューイットとイェンファ】

「キスだけじゃ、足りない」

#この台詞から妄想するなら
https://shindanmaker.com/681121

 息もつかせぬ激しいキスでも、物足らない顔をする。拭う間もなく濡れたままの唇を尖らせて、
「キスだけじゃ、足りない」
 と宣う。
「何が欲しい? 身体か、心か、言葉か」
 俺に差し出せるものなら、何でもやるから。
「欲しいものを言ってくれ」
「この先の、イェンファの時間を全部」
 オレにちょうだい? と小首を傾げて、それはそれは綺麗に笑う。
「何処の悪魔の要求だよ」
「ただの魚でーす」
 この先の俺の時間のすべて。
 キスも、身体も、心も、言葉も、命も全部ぜんぶ。
 欲しい、とおまえが言うのなら。

「未来永劫、俺と居てくれるんだろう?」

 なら、安いもんだ。
「やるよ、全部」
 好きにしろ、と応えれば、嬉しそうに笑いながら小指を絡めてくる。そして、
「オレが死んだ1秒後に、後追いしてね」
 子供みたいに幼稚な約束を、ゆびきりげんまんさせられた。
 ああ、この悪魔みたいな銀色の魚は、自分が死んでも俺を離すつもりはないらしい。
 雁字搦めの未来。
 けれど、それこそが。
「仰せのままに」
 俺の望みでもあるから。
 少しでも長く、誰よりも近く、おまえと共に在りたい。

 俺の時間と引き換えに、おまえの一生を手に入れる。死がふたりを別つまで。

「愛してる」



【今日の花乙女組】四日目

「生クリーム食べたい」
「は?」
 今にも出掛けようと家のドアに手を伸ばしたまま、ぼそりとヒューイットが呟いた。
「イチゴがたくさんで甘いやつがいい」
「ショートケーキか」
「……スポンジケーキの気分じゃない」
「ストロベリータルト?」
「生クリーム何処行った」
「シュークリーム」
「イチゴたくさんがいい」
「頼むから具体的に食べたいスイーツを言ってくれ」
「え、なんかこう察してよ」
 オレとイェンファの仲なんだから。
「ああうん設定的にいろいろ不思議なテレパシーがリンクしてる仲ではあるが無理だからそれ」
「酷い、オレのこと愛してないの!?」
「いやいや、めっちゃ愛してるから。好きだから。具体的に食べたいもの言ってくれたら作るから、しょうもないことで俺の愛情を疑うのはやめてくれ」
「生クリームでイチゴで甘いやつ」
「1ミリも具体的じゃねえ」
「そんな感じの作って。いってきます」
「……いってらっしゃいませ、ヒューイさま」
 主人を送り出し、ぱたり、と閉まったドアをしばし眺めて、イェンファは小さく溜息を吐く。
「さて、どうしたもんか」
 生クリームと苺をそのまま皿に盛り付けてやりたい気持ちを抑えつつ、キッチンに向かった。
「ただいまー」
「おかえりなさいませ、ヒューイさま」
 いつものように出迎えると、ヒューイットはすんすんと部屋に漂う甘い匂いを嗅ぐ。
「生クリームでイチゴで甘いやつ、な」
 ほら、とテーブルの上に皿を置くと、スカイブルーの瞳が嬉しそうに細められる。
(どうやら正解のひとつだったらしい)
「ショートケーキだ!」
「スポンジじゃなくて、ビスケットにクリームを挟んだ方のな」
「わあい、いただきまーす!」
「待て、手洗ってこい」
「えー」
「不貞腐れるな、子供か! いいから洗って来い!」
「はーい」
 ヒューイットが席を立って手を洗いに行った隙に、ケーキの皿のデコレーションを増やす。
 綺麗に山盛りにした生クリームと、薔薇の形にした苺。気が付かなくてもいい、たくさん食べてもらえれば。
「洗ったよー」
「紅茶淹れてくる」
「うん、ありがとう」
 鼻歌混じりにフォークとナイフを握ったヒューイットは、早速、生クリームの山を崩しにかかる。
(本当に子供みたいだな)
 イェンファが紅茶のカップをテーブルに置くと、視線を上げたヒューイットが笑った。
「薔薇、可愛いね」
「可愛いだろ。習ったんだ」
 どうやら気が付いたらしい。
「ありがとね、イェンファ」
「どういたしまして。次からは、もう少し具体的に言ってくれ」
 頼むから。
「うん、そうする」
 違うお菓子を作っていたとしても、美味しいと食べてくれただろう。けれど、嬉しそうに笑う顔は何にも代え難くて。

 多分、明日からも我儘をきいてしまうのだ。



【今日の花乙女組】五日目

 すっぽりとオレを抱え込んで、無防備に眠るイェンファ。

 ほんの少し身じろぎしただけで目を開けて、どうした? って尋ねてくれるだろう。そして、オレがどんな我儘を言ったとしても、全力で叶えてくれようとするだろう。
 オレを絶対に裏切らない、やさしいやさしい腕の中。
 ほんの時折、何もかもを投げ出して、この腕に甘えてしまいたくなる。
 何もかもを忘れて、イェンファだけを見つめて、イェンファだけを想って――それだけで世界を満たしてしまいたくなる。
 オレがそう言ったなら、イェンファは全力で実行するだろう。
 どんなにボロボロになっても、命を賭しても戦うだろう。

 そう考えて、オレは大きく息を吐き出す。
 それは、駄目だ。イェンファが死んだら元も子もない。この腕が失われるなんて、耐えられない。
 だから――

「ヒューイ?」

 不意に声を掛けられて、ぎょっとする。
「どうした、眠れないのか」
 アイスブルーの瞳が、眠さの欠片もなくこちらを見ていた。
 どうも、オレの溜息で目を覚ましたらしい。野生動物か。
「ホットミルクでも作ろうか?」
 オレの髪を撫でながら、イェンファが微笑む。きつい印象の眦が、やわらかく下がるのが可愛い。

 イェンファを失わない為に。
 この居心地の良い場所を守る為に。
 オレは。
「ヒューイ?」
「何でもないよ、起こしてごめん」
「本当に?」
「うん」
「……溜め込まないで、ちゃんと言えよ?」
「じゃあ、ぎゅってして」
 おねだりしたら、微妙な顔された。
 え、拒否? 地味にショックなんですけど?
「ああ、そうじゃない」
 悪い、と短く謝られて、引き寄せられた。
 オレの下半身に、判りやすく反応しているイェンファ自身が当たる、というか押し付けられる。ふお。
「ハグだけじゃ済みそうもないから」
「溜め込んでるのはどっちだよ」
「ヒューイとしたい」
 そんな風に言われて甘えられたら、オレの理性も蕩ける。
 欲しがられている、と示されることが、オレには最大の快楽だから。
「いいよ」
 明日は別に予定もないし、世界の終りも迫ってない。
「おまえが言うとシャレにならん」
 勇者の盟友はいつも多忙だけど。
「一日くらい休んでも怒られないでしょ」
「では、遠慮なく」

 イタダキマス。

 大好きな、やさしいやさしい狼の腕の中で、ぺろりと頭から食われてしまう。
 このまま目を閉じて、何も考えずに溺れてしまいたくなるけど、そんな風に想える大切な場所を守る為に。

 イエンファを、世界を守る為に。

 オレは今日も勇者の盟友で在り続ける。

(でも、明日はお休み)



 ヒューイットとイェンファのしょうもないベタベタイチャコラ話をまとめました。
 時間軸的には、花乙女シリーズのちょっと未来ですね。ただただいちゃこらさせたかったので、ヤマナシオチナシイミナシですが、とても楽しく書けました。またやると思いますw

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