花の乙女が出来るまで 22

「いってらっしゃいませ、ヒューイさま」  普段は砕けた口調だけれど、ヒューイットが出掛ける時と迎える時だけはプラコンらしい丁寧な物言いをする。  掃除が行き届いた家、手入れされた庭、窓辺に灯る優しい明かり。 「おかえりなさいませ」  ただいまー、とふざけて抱き着けば、子供あやすように柔らかくハグを返される。ヒューイットの…
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花の乙女が出来るまで 21

 強い風に驚いて、ぼんてんまるの触腕をぎゅっと握り返しているうちに、ペンタ達はオルフェア住宅街に到着していた。きょろきょろと辺りを見回してから、うつせみまるの背中を降りる。目の前には青い屋根の綺麗な家があり、そっとぼんてんまるを窺うと、ここだよ、というように頷いてくれた。 「こんにちは~」  門の外から、ペンタは声を掛ける。…
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花の乙女が出来るまで 20

 探偵ニコルが、相棒でありプラコンでもあるニールと共に次元を渡り、誰も気付かぬまま書き換わった世界で、ほんの少し時間を巻き戻し──その日、ヒューイットはカメラを片手にエルトナ大陸の夢幻の森へ来ていた。  青に染むこの森特有の白い花──夢幻大花がお気に入りで、特にクエストが無くてもよく訪れているのだ。今日もまたその美しい姿を求め…
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花の乙女が出来るまで 19

 そのうち酒でも、と言い交わしていたアンバーを、ニールはヴェリナードのカフェに呼び出した。  男性客といえばカップルの片割れと言い切っても過言ではない、女性向けのお洒落で可愛らしい店構え。そのパステルな雰囲気におよそ似つかわしくないアンバーは、同じく違和感だらけのニールを振り返る。 「なあ、何でここなんだよ?」 「ケーキとハー…
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花の乙女が出来るまで 18

「まさか、家ごと引っ越しするとは」 「便利だろう」 「本当に、便利だな。どういう原理なんだ」  探偵ニコルへ、助手のニールが問いかける。  次元を移動すると宣言したニコルは、付いて行くと言ったニールを連れて新たなアストルティアの世界へやって来た。  だが、そこは見慣れたグレンの住宅街で、家もそっくりそままだったから、引っ越…
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花の乙女が出来るまで 17

 菓子作りに特化した高級小麦粉、溶けやすく扱いやすいフロストシュガー、新鮮たまご、上質なアーモンドプードル、ミルクが香る無塩バター。混ぜ合わせ、伸ばした生地をシンプルに丸く型抜いて、あらかじめ温めておいたオーブンで焼く。 「おはよう、イェンファ。いい匂い」  髪に寝癖をつけたまま、ヒューイットが起きて来る。 「熱いぞ」  ケ…
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花の乙女が出来るまで 16

 ちりんちりーん、とドラキーのベルが鳴り、郵便が届いたことを知らせる。お茶を飲んでいたヒューイットは、飛び上がるようにして立ち上がり玄関へと駆け出していく。はずみで、かしゃん! と派手にカップが音を立てた。 「こら、ヒューイ! 行儀が悪いぞ、カップが割れたらどうする…」 小言を言ってみたものの、当人はまったく聞いてはいない。 …
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